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2023/10/23

メキシコから来たシェフ

オーストラリアでお世話になったクラスメイトの1人に、メキシコ人のシェフがいる。


彼は10代で家を飛び出した後、シェフとして修業したのち、米国で数年、ドバイで数年シェフとして働いた後、オーストラリアに来たそうだ。


しかもメキシコでは、日本人シェフのもとで働いたこともあり、日本食の料理の奥深さが大好きらしい。

ただ、メキシコの日本人大将は何もさせてくれなかったそうで(最初の1年は見てるだけだ的な)、辞めてやった!と言っていた。


そんな彼とは、授業のブレイクの合間に、一緒にコーヒーを買いに行ったりしていたのだが、そのついでにクラスメイト全員にペイストリーを自腹で購入して配ったり(何回も!)、メキシコの非常に辛いソースを自作して、お持ち帰り用のプラスチックケースまで準備して提供してくれたりした。


ある日、いつもはクラスメイトみんなに披露する彼なのに、なぜか私にだけある料理を作ってきて、渡してくれた。


コオロギのフライだ。


メキシコでは地域によって、わりと一般的な食料品らしく、彼はわざわざオーストラリアでコオロギが購入できるところを見つけ、美味しく食べてもらいたいと、料理してきたのだ。


私の席の向かいに座っているメキシコから来たおてんば娘に聞いても「フツーだよ!」との返答だ。


写真:初見、食すのはムリかなと思った

正直、「なぜ私だけなんだ」と複雑な気持ちだったが、快く受け取り、コオロギさんたちには、いったん冷蔵庫で大人しくしてもらい、週末までにトライする目標をたてた。

そして週末、いざ!と箸でつまむと、さすがにコオロギさんと目が合うので、シラフじゃ難しいと考え、お酒を買いに行った。

ビール1缶で簡単に酔っぱらえたが、やはりどう見てもコオロギだ。せめてこの見た目だけでも変わってくれてればなと思ったが、1匹だけつまんで、意を決して口に入れてみた。


「あれ?さくさくして美味しい!」


その後は、かき揚げを流し込むように、一瞬で食べてしまった。


食感も味も良かった。


お酒のおつまみには、もらった量だけでは足りない。


徳島大学で食用コオロギに関する研究がされていると聞いたことがあるが、安価であれば、日本でも居酒屋でわりと受けそうだな、と思った。


シェフの彼いわく、タンパク質を取るのに昆虫は適しているそうな。


また、彼はお酒が好きで、日本酒をいろいろと一緒にためしたのも良い思い出だ。


写真:彼の勧めてくれた西オーストラリアのビール

オーストラリアは日本食レストランが多く、日本酒に普通に出会うことができる。

しかし、やたら高いので、次の日はいつも、前日に日本酒へ散財した金額に後悔した。


そして、私の帰国のフライト当日、彼は、

「スーツケースに余裕はあるかい?」

と連絡してきた。私はパッキングはもう終わって、宿からの出発時刻を待つだけになっていたのだが、

「少しなら」


写真:メキシコのお酒メスカル

「お酒のボトルを渡したいんだけど」
「何ml?」
「750ml」
「そんな大きいサイズのスペースはないなぁ」

というやりとりをしたのだが、彼が私の返答にしょんぼりしたようなのを感じとった私は、
「服を何着か諦めれば入るよ!」
と返した。

かくして、私は750mlのメスカルというお酒をせんべつに受け取った。リュウゼツランを原料につくるメキシコの蒸留酒らしく、世界的に有名なテキーラもメスカルらしい。


45度以上ある強いお酒だ。写真のように素敵なラベルのボトルだったが、「こんな強いお酒をこんなに飲めるかな」と思った。


かさばるパーカーを1着あきらめて、かわりにこのメスカルと帰国した。彼のアドバイス通り、「おちょこに1杯だけ寝る前に」を続けたら、1ヶ月もたたずに空いてしまった


最初は喉が焼けるようだったが、最後にはけっこう気に入っていた。


彼は将来、自分でレストランを開くのが目標だ。世界のどこでオープンしても行くよと約束している。



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チリから来たラガーマン

IELTSコースで一緒になったクラスメイトの中で、強烈な印象を私に残した1人である。


彼はラグビー好きというだけあって(というか今もプレーしている)、リーチ・マイケルのような風貌だ。

クラス内ではかなりの年上ゾーンに分類される。


既にオーストラリアに来て3年、こちらで仕事もしており、PRを取るため、IELTSを勉強する必要があるそうだ。※PR(Permanent Residency)


IELTSコースは毎日、授業前に任意参加のテストプラクティスが1時間もうけられている。要はIELTSのテスト練習だ。

月曜はListening、火曜はReadingというように、技能は日替わりである。


私はいつも参加していたのだが、ある日、ラガーマンから、


「Speakingを改善したいから、プラクティスの30分前に集合して、練習しないか」


というオファーを頂いた。私はSpeakingが大の苦手なので、快くそれを受けた。


「じゃあ明日、11時に!」


そう言って約束した。


写真:2日間のやりとり

翌朝、11:10に学校集合しようと連絡がきた。
私は了解し、11:10には学校にいたのだが、彼から、

「ごめん11:20になる」

と連絡を受けた。

「わかったよ!」

と私は返したが、結局11:20どころが、テストプラクティスの後の授業に遅刻して現れた。

そしてその授業後、明日はちゃんと11:00に集合して、Speakingの練習をしようと、改めて誘われ、
「もちろん」と伝えた。


次の日、11:00には学校でラガーマンを待っていたが、11:30になって、「いま電車の中で到着は11:30になっちゃう」と意味不明の連絡だ。

結局、昨日と同じように授業に遅刻してきた。

彼は遅刻してくるといつも、教室の扉のむこうで、ノックをするでもなく、ドアの前の廊下にたたずむ。

講師がそれに気づいてドアを開けるまで、じっと待っているのだが、もちろんそんなことしなきゃけないルールはないし、そんなことをするのは、このラガーマンだけだ。

私は何の儀式なんだろうと常々思っていたが(それだけ彼は遅刻の常習である)、ある日教えてくれた。


「おれは、テスト中や授業中に気をそらされることが大嫌いだし、そういうことを平気でするヤツは許せないんだ」


「だから、みんな授業に集中している時に、ドアを開けて、クラスメイトの邪魔をしたくないし、そんなのは講師に対してとても失礼だ」


思い返すと、確かに模擬試験のReadingの時間、となりの教室から、音楽が聞こえてきたりしたことに、「気が散る!」と、テスト後にえらいプンプンしていた。


しかし、Writingが終わった後、

「しゃべりしながらWritingしてる人がうるさくて気が散った」

とクラスメイト数名が、ラガーマンの独り言に文句を言っていたことを彼は知らない。


「廊下に立ってないで早く入ってきなさいって何回言ったらわかるの」

と、遅刻するたび講師からツッコまれ、


「先生、いまやっているところはどこですか?」

と聞き漏らしたことを授業中に何度も聞く。



よせばいいのに、ボールペンを授業中にごみ箱へ投げ、そのすごい音でクラスメイト全員の注目を浴びても、彼は自分が招いた状況にはとんと無頓着だ。


それなのにこんな正義漢。


途中からは、「どの口が言うんだ」キャラになり、彼がぷんぷんすると、私たちは最高に楽しかった。


なぜかそんなラガーマンとは、お互い帰国してからも、PCメールで長文のやりとりをしている。彼からのメールはいまだに、スペイン語を英語にただ置き換えただけのような、粗削りの英文だ。


彼はチリで家族と素敵な時間を過ごし、しっかりと充電したあと、またオーストラリアへ戻ってきており、IELTSへの準備中だ。最近の彼のメールはこう結んであった。


I will see my next chapter in Australia in a couple of months.


結果を楽しみにしている。


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