ハンガリー出願
ブダペシュト・コルヴィヌス大学ほか
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もくじ
ハンガリーの大学は早いところで11月に出願がオープンとなるが、翌年4月くらいまでは出願可能である。遅いところはもっとオープンも締め切りも遅い。
しかしハンガリーは、政府主催のStipendium Hungaricumという大変魅力的な奨学金制度があり、年齢、国籍問わず申請可能で、
・学費の免除
・住居費と生活費の補助
・医療保険
が付与・給付される。もちろん返済は不要。
こちらのルートで出願するとなると、11月中頃にオープンとなり、翌年1月15日に締め切りとなる。
私はこのルートで出願することにしたため、大学をまずリストアップして、どの大学に出願するか決めた。
大学・学部の決定
そもそも意中の学部と大学を探すのにはstudyportalsというサイトを利用した。これは学士だが、修士バージョンのサイトもある。
ページ左の条件を選べば、絞り込みを行ってくれる。
私の場合、手持ち資金から、学費が合わない国はバッサバッサと除外していき、意中の学部を開講している大学をリスト化し、ひとつずつ大学のHPを閲覧し、更に国と大学を絞り込んだ。
この作業時点で、ハンガリーの大学はだいたい後述する4大学に絞れていたので、Stipendium Hungaricumのサイトでその4大学を検索し、募集・選考要項、プログラム概要などを確認した。
ちなみに奨学金制度に関しては、ハンガリーの大学のHPを見て知った。
各大学、私の志望学部の募集・選考要項は下記。
エトヴェシュ・ローランド大学
高校(またはそれ以上)の卒業・成績証明書
英語能力の証明書(IELTS5.5、ケンブリッジFCEなど)
パスポートコピー
モチベーションレター
面接:有り(オンライン)
ブダペシュト・コルヴィヌス大学
高校(またはそれ以上)の卒業・成績証明書
英語能力の証明書(IELTS6.0、ケンブリッジFCEなど)
パスポートコピー
モチベーションレター
面接:有り(オンライン)
ペーチ大学
高校(またはそれ以上)の卒業・成績証明書
英語能力の証明書(IELTS5.5、ケンブリッジFCEなど)
パスポートコピー
モチベーションレター
面接:有り(オンライン)
セーチェニ・イシュトヴァーン大学
高校(またはそれ以上)の卒業・成績証明書
英語能力の証明書(IELTS5.5、ケンブリッジFCEグレードBなど)
パスポートコピー
モチベーションレター
面接:無し(オンライン試験有り)
これらから2校を選ぶ必要があったので、大学のHPでカリキュラムの内容やパンフレットを確認し、それぞれの大学を比較して、最終的にコルヴィヌス大学を選択した。
選考プロセスを考えると、第2志望に奨学金が認可されるパターンの可能性は極めて低いと感じたので、コルヴィヌス大学とは逆に、学部の募集人数が少ないセーチェニ・イシュトヴァーン大学をあまり深く考えずに選択した。他の3校に比べ新しい大学ということもあり、毛並みの違いを感じたこともある。
Stipendium Hungaricum出願の流れ
以下、奨学金制度からの出願、おおまかな流れを下記する。
日程は2023年~の実績。
第1志望:ブダペシュト・コルヴィヌス大学
第2志望:セーチェニ・イシュトヴァーン大学
0.Sending partners and available study programmes
の確認
Stipendium HungaricumサイトのページでJapanを選択し、利用可能な学科を確認する
日本の出願者は別途出願の申し出が不要な旨記載があることを確認
(以下の文がページ下部にあることを確認)
Please note that Japanese applicants do not need to submit a separate application package to the Japanese partner country.
※ ”Sending partners” が何なのかで悩む日本からの志願者は多いと思われる
1.サイトへ登録(11月15日オープン)
住所や教育・職務履歴など個人情報の入力、顔写真のアップロード
Application Guideがこのページにあるので、これに従って入力
※このページはFAQも含めすべて理解する必要がある
2.必要書類のアップロード(~1月15日)
パスポート、高校の卒業・成績証明書、英語能力の証明書、
モチベーションレター、Medical Certificate
※Medical Certificateのみ4月15日まで
3.出願する大学と学部を選択し出願(~1月15日)※2校まで選択可
この奨学金コースからの出願は無料
4.提出書類による1次審査(~2月末)
奨学生にノミネートされたか否かの連絡を受ける
5.ノミネートされた出願者むけのウェビナー(3月19日)
第1志望のコルヴィヌス大学によるウェビナー
この大学への出願者が約7,000人で1,300人まで絞られたことが告知
各学部による面接や試験によって600人に絞ったあと、最終的に300人が奨学生
その他、面接の案内の説明など
※約7,000人という数字はこの奨学金を通しての出願数
6.試験の連絡(3月21日)セーチェニ・イシュトヴァーン大学
オンライン試験で、1週間以内にアクセスして受験
7.面接日程の選択指示(4月8日)ブダペシュト・コルヴィヌス大学
翌週の月・水の日本時間16時~21時から選択(面接時間は15分)
8.面接(4月17日)ブダペシュト・コルヴィヌス大学
2名によるオンラインでの面接
9.Conditional acceptance通知(4月26日)
ブダペシュト・コルヴィヌス大学から
この後、Diploma Recognition Processがある
10.Conditional acceptance通知(5月2日)
セーチェニ・イシュトヴァーン大学から
11.最終審査結果連絡(7月~8月)
Tempus Public Foundationによる最終評価
大学側はこの選考に関わらず、出願者と同様に結果待ち
上記3.の出願時に「奨学生の審査にもれても自費入学の出願者として考慮されることを希望する」の項目にチェックを入れていれば、この最終審査で落選しても、大学側からは改めてオファーがある。
6月15日2024年 追記.
最終審査結果の連絡は、想定していたよりかなり早く、6月15日に受領。
出願システムでscholarship offerの承認ボタンを1週間以内に押すよう指示がある。
12.奨学生むけのウェビナー(6月26日2024年追記)
6月20日、日本時間22時にウェビナーが開催
(送られてきたリンクの技術的問題で多くの志願者がライブに参加できず)
翌日、使用した資料とビデオが提供される
Recognition processに進むための宣言書が送付され、それに必要事項を入力し、印刷、ブルーインクでサインし、6月24日までに指示されたアドレスへ送付
12.Unconditional Letterの送付(7月8日より開始)
これを受け取って、やっと入学が認められたということになる
Mandatory: Medical Certificate
ここで最初に記しておきたいのは、MandatoryのMedical Certificateだ。
提出書類のフォーマットはStipendium Hungaricumの出願ページからダウンロードさせるようになっているので、それに指示されている健康診断実施後、医師に必要事項を記載してもらう必要がある。
また診断結果のエビデンスも必要だ。
重要な書類であるため、4月15日までとはあったが、私は出願ボタンを押す1月15日までに準備した。(ただし11月以前の早すぎる日程の検査結果はだめ)
診断書の類は融通も利かないし、直前に準備することはリスクであると考えたからだ。
特に健康診断のエビデンス(血液検査結果)のオリジナルと英訳文を一緒にアップロードする必要があり、医療機関にお願いして、すぐに「はい、わかりました」というものではなさそうだ。
私は幸運にも開業医の友人が融通を利かせてくれたため、スムーズに準備ができた。
項目としては、
Tuberculosis (TB) screening or Quantiferon testの結果(原本と英訳)
Serological tests(HBs抗原、HCV抗体、HIV抗原/抗体)の結果(原本と英訳)
Vaccinationsの接種有無
※テスト結果は3か月以内のもの
※Vaccinationsは母子手帳やその他記録を医師が確認し記載
※ワクチンは接種していない場合、出国前までに接種を検討せよとある
最近はB型肝炎のワクチン接種もされているようだが、私の世代は実施されていないので、回答はNoとなるが、ハンガリーに行くことになったら接種しようと思う。
※2025年1月27日追記:B型肝炎ワクチンは接種間隔をあけて3回必要だが、2回だけ接種して出国
モチベーションレター
日本では馴染みのない書類だったので、まずはモチベーションレターとは何なのか、英語のサイトを少し調査した。
複数のサイトが共通して言っていたのは、最も重要なのは「オリジナリティ」だったため、そのことを念頭において、年末に一気に書き上げた。
締め切りまで時間もなく、ネイティブチェックもせず提出したため、後から見ると冒頭にあいさつもないし、締めの言葉にありがとうもないし、単・複数すら間違いがある。
Application Guideの指示も無視だ。ともかく内容で勝負できたということだ。
私の場合、社会人経験が長いので、そのことに触れずに書き上げることはできず、そのせいで、なぜハンガリーかなどの話題を含め制限字数にまとめることに苦労した。
余談だが、モチベーションレターのアップロードはpdfと、出願サイトに直接打ち込みの両方必要で、出願サイトにコピペすると、自動で文字数カウントが表示される。
しかし、私がコピペしたところ、文字数が大幅にオーバーした。どうも単語と単語の間のブランクも文字数に含まれるらしい。スペースを含めて4,000字以内だそうだ。
直前だったのでかなり焦って文を削除して、制限文字数に入れ込むのは大変だった。
おかげで改行もなく読みにくい文となったが、おおまかな記載内容は、
写真:提出後に修正したバージョン ー
⓪導入:このレターの目的
①この学問を選んだ理由
②ハンガリーを選んだ理由
③社会人経験と、辞めるに至った理由と背景
④いかに出願者として自分がふさわしいか
⑤この学部を終えた後、将来への展望
⑥むすび:意気込み
という構成にした。2校まで志望できたので、両方の大学の目に触れることを想定し、この大学を選んだ理由や大学名にはあえて触れないことにした。
比重としては④に重きを置いた。エンジニアとしての経験があること、年齢をまわりより重ねていることなどが、どう学部に貢献できるかに結び付けてオリジナリティを出せたと思う。
次に②を自身の知識からしっかり説明した。③は長くしたくはなかったが、説明せざるを得ないことを書きならべると、②と同程度の長さになってしまったが、私の勤務期間の状況を簡潔に正確に圧縮はできた。
あとは違う話題どうしが、不自然な繋がりにならないようリンキングワードなどに気を付けた。
モチベーションレターの記載内容について、大学や奨学金のHP(リンクpdfのP19から)にも指示があるので、必読である。
また、先のリンクpdfには書かれていないが、出願ページにTimes New Romanサイズ12のフォーマット指示があったり、レター要件に関わらず、情報の分散や、記載内容が違ってたりすることが散見されたので、関連サイトはくまなくチェックが必要だ。
後日談だが、出願システムで提出後、ネイティブチェックの機会がたまたま得られ、せっかくだから提出したモチベーションレターを見てもらった。
当然のように真っ赤になって返された。
面接
少し恐ろしかったのが、15分の面接時間が9分で終わったことだ。結果的にパスしたので、英語でコミュニケーションがとれるかのみを見る目的だったのか。
面接がpriority 1とpriority 2の、2つの週に分けられており、私はpriority 1のグループだったため、その名の通り、書類選考で優先順位が既についており、そのためすぐに面接を終えたのかとも想像した。
写真:面接の結果告知
オンラインの面接は女性と男性の2人で、まずは女性から簡単な自己紹介と、ここまでに至った経緯を尋ねられた。
それに回答後、男性の方から、なぜあんな遠いとこからハンガリーなんだ、というような聞き方で、ハンガリーを選んだ理由を聞かれた。
(この男性はちょっと怖かった。単に雰囲気が)
これは想定していなかった質問で、どう答えるか戸惑った。
何せモチベーションレターに長々と3つも理由を書いたので、今更聞かれると思っていなかったし、レターの内容をそのまま答えるのもストレスだったからだ。
結局、レターに書いた1つ目の理由に大学を選んだ理由をつけ足して回答したが、なんともしょぼしょぼの回答になってしまった気がする。
その後、再度女性に戻り、英語以外に何の言語ができるか、と質問を頂いた。
正直、英語でこれだけ苦労しているのに、他になんてあるわけないじゃない!と心の中で叫んだが、大学時代に中国語を専攻したけど、はるか昔なので忘れましたと答えた。
私としてはレターの記載内容に絡ませて、もっと深い質問を想定していたので、たった9分で面接が終わった際は、複雑だった。まあパスしたので今はどうでもいいが。
Stipendium Hungaricumへの登録
先述したApplication Guideを読みながら個人プロフィール等入力を進めれば問題ないと思うが、私はそれの存在に気付かず出願までしてしまったため、あるミスを招いた。
卒業証明書など、オリジナルで英文の書類が発行されている場合はアップロード後に、
I have uploaded the original
ではなく、
I have uploaded the original and the translation
を選択しなければならない。
the translationのアップロードがなくてもだ。前者を選んだままだと、「!」が表示されたままとなるが、出願ボタンは押せてしまうので、そのまま突き進んだ。
修正する必要があることに気づいたのは、第2志望の大学からのConditional acceptanceの通知で、「高校の卒業・成績証明書、英語能力の証明書を8月1日までにアップロードすること」との記載があったからだ。
第1志望からは何も言われていないのも気になるが。
また、大学や大学院の成績を入力する場合、GPAを書き込む欄がある。
そもそも根本的に評価制度が違うので、優・良・可の成績をどう変換したら良いか正解はわからないが、あるエージェントのサイトで、米国への留学の際、採用されているという対応値があったので、それにならい点数化した。
優を4点、良を3点、可を2点と。
これに関してはどう対応するのが正解だったのか不明だ。
選考を終えて
6月26日2024年追記.
Stipendium Hungaricumの選考プロセスを終えて思うのは、純粋に試験の点数で決まる日本の大学入試とは違い、選考過程でいかに出願者の中で目立つ、際立つことが大事なのだろうと感じた。
これは入社の選考過程に似ているかもしれない。何千人もの書類に目を通す選考側の視点に立ってみれば、自己アピール、成績、出身校、第二言語能力など、なにか印象に残るものがなければ、書類がまず通らない。
だから文法的にミスのないすばらしい英文のモチベーションレターを書くことより、ガタガタ英語でも、印象が強烈に残る、魅力的な内容のレターを書くことが重要だ。
その点、私は他の出願者に比べ明らかに年齢が上で、元エンジニアで全く関係のない文系科目へ鞍替え、東の最果ての島国から出願という点で既に目立つ。
それにモチベーションレターは生きた時間が長い分、オリジナリティのある内容を提供できる。
ただ逆に、高校の成績証明書が提出できないことはマイナスであっただろうと思う。
その欠点を、英語はC1持ってますよ、日本で大学も出てますよ、と主張することで補えたと思っている。
また、高校の成績証明書があったとしても、出願時にその点数を良くすることはできないので、この奨学金制度へ出願する際は、
・モチベーションレター
・英語能力の証明書
・面接
この3点にすべてを注力することが、唯一できることであり、どれだけ注力できたかが、そのまま結果の良しあしに反映される。
特にモチベーションレターは、最初の選考段階で、自分のことを知ってもらう、アピールできる唯一の手段であるため、非常に重要だ。
面接に関しては、私の場合、1か月前には個人経営の英会話を探して尋ね、モチベーションレターを渡し、経緯を説明し、面接の練習をしてもらった。

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