オーストラリアで出会った人で、忘れ難い者はたくさんいるが、中でもいっぱいエピソードをくれた娘がいる。
まさに「おてんば」がピッタリの娘だった。
メキシコで大学を卒業したが、中南米ではなかなか就職事情が厳しいので、オーストラリアに来たそうだ。
CAEコースで出会ったが、既に彼女はReadingも、米国英語のSpeakingも達者であり、入国時から優秀だった。
ほぼ毎日、私の向かいの席に座っていたそんな彼女は、3回、私のテキストにコーヒーをぶちまけてくれたし、ハエが飛んでたら手のひらでやっつけちゃうような娘だ。
Farewell Party
このコース終了時に、打ち上げのようなものを私が主催したのだが、放課後は毎日アルバイトをしている活発なこの娘は、ちょうど1軒目から2軒目のカラオケに移るタイミングでパーティへ参入した。
最大キャパ11名のそのカラオケ店に13人で向かった。
韓国人が経営しているらしく、店員は韓国人。
人数を伝えると、いや11名までだってば、と当然言われたが、そこはクラスメイトの韓国人が母国語でネゴ。
すんなり13名で突入した。
写真:まだ序の口(ソジュの数から)
その後はハッキリ言ってあまり記憶がない。
1軒目でそれなりに飲んでいた上に、ソジュやビールを中心に全員で飲んで、歌って、踊ったからだ。
みんな楽しんでるな~と思った記憶から、プッツリと飛んで、次の記憶は、おてんばさんが、トイレの前の小さなベンチに腰掛けて、プラスチックのコップに吐いているシーンだ。
そしてそのコップは私が持っている。
私の袖口は当然汚れている。
他にも、トイレで戻している人が何人かいたらしい。
この日は雨が降っており、夜は非常に冷え込んだのだが、その予報を見ていた私は、ライトダウンをバックパックにしのばせていた。
外に出たおてんばが寒いと言うので、それを着せあげた。
踊って暑かったらしく、セータを脱いでTシャツだったためだ。
クラスメイト達はパラパラと解散したらしく、最後は誰がこのおてんばをどうするか、数名で談義していたのを覚えている。
結局私がタクシーで送っていくことになったのだが、私はおてんばが最近引っ越したばかりだということを知っていたので、意識もうろうとしているこの子が、正しい住所を言えるか不安だった。
「大丈夫、言える言える!」
目をつむったまま自信たっぷりにそう言う彼女を信じ、タクシーへ乗り込んだ。
学校と家との往復しかしていない私には、そこはどこだかさっぱりわからなかったが、おてんばの言う住所にたどり着き、ふらふらする彼女を支えながら、すこし歩いた。
「もう1人で帰れるって!」
と自信たっぷりにまた言うものだから、私もすごい酔っぱらっていて早く帰りたかったので、「オーケーバーイ」と言って、待たせていたタクシーに戻った。
私の家にタクシーが着いた時、彼女のスマホが座席に残されているのに気づいた。
この日で彼女はホリデーに入るし、さっきの家がどこか全然わからないし、「うわーサイアク」と、その瞬間は思った。
結局、持っていくしか選択肢がないので、電池切れが心配なので、触らないようにして、その晩は寝た。
そしてその頃、おてんばはというと、結局住所が間違っており、2ブロックも手前でタクシーを停めていた。
結果、自分のflatだと思ったドアは当然開かないし、状況がのみこめないまま、ドアの前で寝てしまったらしい。
雨も夜通し降り続き、朝、冷え切った状態で目が覚め、
「What the f〇ck!」
と叫んだらしい。
翌日の夜、おてんばから自身のスマホに電話があり、私の家まで取りに来た。
二日酔いのままバイトに行っていたので夜になったそうな。
昨日着ていたダウンは私のだから返してね、と伝えつつ、近くの駅まで見送りをした。
日本人どうしなら、紙袋か何かにダウンを入れて、返却してくれるのが自然だと思うが、当然ハダカで返却だ。
おてんばのすごいところは、ゲ〇が付着したまま返してくれるところだ。
ちなみに、おてんばから連絡をもらう前に、男性から着信があり、どうもデートの予定だったのにおてんばが現れない、という電話だった。
そして当然お前は誰だ、と。
最終的には状況を理解してもらったが、かなり気まずかった。
CAE Exams
3ヶ月後、ホリデー明けで既に学校へ復帰していたおてんばと、CAEの試験を共にすることになった。
おてんばは当然、勉強していないという。
彼女の実力なら、Reading、Listening、Speakingは問題ないと思ったが、テストのスタイルに慣れるため、本番前に1回くらいやっておいた方が良いんじゃない?
と、購入したばかりのC1 ADVANCED 4をおてんばへ貸した。
試験はSpeakingのみ別日で、後日ペーパーという日程だった。
おてんばとそのスピーキングパートナーの試験順は、私の組の前だったのだが、私のテスト集合時間1時間くらい前に、おてんばからメールが入った。
「いま病院なんだけど、試験の時間を変えられると思う?なぜ病院かは聞かないで」
おてんばの集合時間はもうすぐなのに、何を言ってるんだろう。
そもそもなんで私に聞くんだろう。
と、思ったが、会場は私の家から近かったので、とりあえず向かった。
担当者へ状況を伝えると、「本人に直接、私へ連絡入れるよう伝えて」と言われ、そうした結果、試験官から「じゃあ、あなたたち先に受けられる?」と私が先に受ける羽目になり(私のペアも早めに来ていた)、なんとおてんばは、自身の試験時刻を変えてしまった。
こんなのが許容されちゃう感じが、海外だなと思った。
おてんばは、変更となったSpeaking開始時間に、得意のタクシーを飛ばし、ぐったりしながらも何とか間に合わせた。
写真:空欄に書き込まれたテキスト(R&UoE Part3)
数日後、貸したテキストブックを返してね、と伝えると、中に書き込んだ状態で渡してきたのにはびっくりした。広告

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