大学のドミトリーに住んで、だんだんわかってきたことがある。
リノベ済みのフロアは女性やハンガリー人が優先の様だが3人で共用している。
一方、私のフロアは留学生専用で、リノベ未実施のフロアだが、3人部屋に2人で寝床を共にしている。
一応、毎日昼前に共用スペースの清掃が入るが、その質は例えるなら、90年代の米国映画に良くある濡れたモップで床を拭くシーンを想像できれば、そんな感じだ。朝一番乗りでシャワーへ行くと、水は冷たく、温かくなるまでかなり時間がかかる。
だから今は朝、用を足しに行く段階でシャワーの蛇口をひねっておいて、ゆっくり用を足して、部屋に戻って洗面用具を取りにって、温かいシャワーにありついている。
水流ははっきりいって全くないが。
大昔は精神病患者用の病院だったとかで、立地も墓地のそばで、墓地の上に建っているのでは?という真偽不明の噂も今日耳に入ってきた。
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ルームメイト
ドミトリーメイト
クラスメイト
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ルームメイト
結局、ルームメイトは1人ということになった。
最初、前の住人が残していったものだと思っていたものは、このルームメイトが私より先に入寮した時にセッティングしていったもので、彼は旅行に行っていたそうだ。
結局私が入寮して1週間後に彼は戻ってきた。
つまり私は彼が準備したものを勝手に消費していたことになる。(洗剤やビニル袋)
まあそこは正直にお伝えして、いいよいいよと言ってもらえた。
彼は台湾出身のクリスチャンで、自国の大学を出て3年ほど働いたが、辞めて、台湾の教会と繋がりのあるブダペストの教会で英語を教えるボランティアを斡旋され、ブダペストにしばらく住んでいたそうだ。
その後、思いなおし大学院へ行くことへ決め、実際住んで気に入ったブダペストの大学へ出願したと。
私と同じくStipendium Hungaicumの奨学生である。
英語も強烈だが、スペイン語まで話せる。ハンガリー語もかなりのレベルだ。
28歳だが、21歳の時から英語をまじめに取り組み始めたそうだ。
プロテインとか飲んじゃうガチ系で、ランニングを恒常的に朝行っており、最近私もついに参加することになった。
その数日前にはランニングシューズを一緒に買いに行ったのだが、店員にこれ以上小さいサイズはないと言われ、レディースコーナーからアシックスを購入した。
日本円で約20,000円以上した。日本で履いていたものより高いものを買ってしまった。
日本は身近なようで、母親と沖縄などを回った際には、日本製品をとにかく買いまくったそうだ。今もアリナミンを持参している。
アリナミンなんて私は手にしたことすらないが。
まあとにかくルームメイトが台湾人で良かった。
ドミトリーメイト
最近仲良くなったドミトリーメイトに上海出身で、大学のプレパラトリーコース(入学前の準備コースで英語の学習コース)に通っている生徒がいる。
彼は1年後、このままコルヴィヌス大学に進むつもりはなく、西欧州の大学へ進学したいと言っていた。
卒業後のプランは何か思い描くものはあるか聞くと、上海に帰って貿易とか国際的な職を得たいとのことだった。
理由は上海は給料が高いからだそうだ。
彼と話していると、
「ハンガリーはみんなのんびりしていて良い。上海は人だらけでせかせかしていてたまらない」
「でも卒業後、上海に帰るの?」
「上海の夏は最悪だ。ブダペストと違って、地下鉄なんてみんな汗かいてとても臭い」
「でも卒業後、上海に帰るの?」
「上海は給料は良いけど、プレッシャーがすごいからストレスフルだ」
「でも卒業後、上海に帰るの?」
というようなやりとりになった。
困ったちゃんもいる。
私のフロアには共用のシャワーが3人分ある。しかしシャワールームの鍵をかけてシャワーを浴びるこまったちゃんが1人いる。
最初、私のルームメイトがそれに出くわし、
「カギ開けてくれよ、まだ2人分のスペースがあるだろう?」
「私は1人でシャワーを浴びなければならない」
という意味不明な返答をもらったそうだ。
後日、私も出くわし、カギの閉まったシャワールームをノックし、
「入って良いかい?」
「満席です」
と、明らかなウソが返ってきたので、それからはもう鍵がしまってたら諦めて引き返し、時間をズラすようにしている。
中には家族と一緒に住んでいる生徒もいる。
シエラレオネかセネガルから来ている黒人だ。
プレパラトリーコースに通っており、アクセントも強かったので、国名が聞き取れなかった。西アフリカ出身なのは間違いないが。
「学校行ってる間、家族どうしてるの?」
と質問したが、けっこうしゃべっていたが、結局どうしてるのか良くわからなかった。
バスを降りて、「日本人と中国人の見分けがつかない」という彼のおしゃべりに答えていると、突然前を歩いていた女の娘が割り込んできた。
「あなた日本人なの?どこの街出身?」「私日本に行ったことがあるの、東京や大阪。だから気になって」「私はモルドバ出身でアレックスよ」と、矢継ぎ早に語られすこしびっくりした。
クラスメイト
先の女の娘にとっても、どうも日本人はかなりレア層なようで、対照的に日本では馴染みが無いと言っても過言ではないキルギスタン、タジキスタン、カザフスタン、モルドバ、ジョージア、レバノン、ウクライナ、ルーマニアなどが出身国としてこの大学では珍しくない。
これと比較すると日本はかなりマイナーだ。
東アジアでも、中国はもちろん、ベトナムの方がメジャーだ。
なので、10数名の規模の小さなクラスでは、20歳にも満たない娘に「日本のアニメが~」とか言われてしまうが、そもそも話題が理解できないので、返答に困る。(そんな世代のアニメは全く知らない)
ただ、自己紹介してすごい思うのは、日本は誰でも知っている国のグループに属しているということだ。
語学クラスで仲良くなった生徒にラオス出身がいるが、彼はそのクラスのジョージア出身の娘に唐突に「中国人?」と聞かれていた。
当然欧州の人間はラオスがどこに位置するかなんて知らない。なんなら国名も知らない者も多いと思われる。
「日本」というと、アジア系以外はみんなだいたい同じ反応だ。
「あ~あのジャパンね」的な表情をする。
アジア系の反応はというと、ベトナム人には「そうだと思った!」と言われたし、中国、韓国は、自己紹介前からだいたいお互いどこの国出身かわかる。
(たまに難しいのはいるが)
今回、初めて出会った出身国がとても多いが、そのどの国からも日本への反応が変わらないことに、月並みだが日本の知名度すごいな、と単純に思った。
ちなみにブダペストで生活していると、「進撃の巨人」がプリントされたトレーナーやパーカーを来ている若者を良く見かける。
日本では絶対に恥ずかしくて着られない代物だ。
ハンガリー語のクラス
このクラスは、Stipendium Hungaricumの奨学生は必修の講義のため、めぐまれた同じ立場の生徒で構成されるが、出身国の重複がほとんどなく、かなり多様だ。
日本、ラオス、ベトナム、カンボジア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ロシア、ウクライナ、モルドバ、ジョージア、パキスタン。
特に、モルドバ、キルギス、カザフ、タジキの生徒の話を聞いてると、自分の知識が皆無なことを思い知らされる。
特にモルドバの娘の話は興味深い。
モルドバは小さな国なのに、ルーマニア系、ロシア人、ウクライナ人、ガガウス人などで構成されるそうで、彼女はガガウス人。
生まれて初めて聞いた人種だ。
通う学校によって語学教育も違うそうで、彼女はガガウス語を母国語とするが、学校を変わったりしたので、ルーマニア語や他の言語もしゃべるそう。
英語も流暢だ。そして今ハンガリー語の授業を一緒に受けているわけだ。
また、この授業ではロシア人の娘の隣に座ってるのだが、彼女が
「あなた日本人?日本人の講師の授業あるんだけど、超キビシイんだけど」
と言われた。
その日の夜、ちょっと検索すると、この大学に確かに日本人講師がいた。
翌週この娘に「先週日本人講師が厳しいって言ってたけど、この人?」と、大学の写真を見せて聞いた。
「そうそう」
「厳しいってどんな風に厳しいの?」
「例えば授業についてこれないやつは知らん、勉強しろみたいな」
「日本ではそんな厳しい講師はまれだと思うけど」
「そうなの?」
「たまにはいるけど。彼は米国の大学出てるようだから、ちょっと違うかもね」
てな感じのやりとりをし、
「こないだ図書館であなたを見たわよ。ハンガリー語の勉強してたでしょ」
と言われたが、私は彼女が近くにいたことに気づかなかった。
金髪の白人女性は皆同じに見えて、顔を覚えられなくちょっと困っている。
アジア系の方が割と覚えやすい。不思議なものだ。
ちなみにこのロシア人はいっつも一緒にいる友人はウクライナ人。
そしてそのロシア人の隣には日本人。
いまの国際情勢だとありえない絵図だ。
写真:洪水警戒中のブダ城
ところで生活はというと、金曜に授業が入っていないのにも関わらず、土曜も日曜も課題に追われる日々だ。そしてスペイン語の講義がやばい。復習の時間を割けていない現状に加え、なぜか週3回も講義があるため、どんどん置いてかれている感じだ。
本日、そのスペイン語の授業で、パートナーと個人情報のやりとりをして、第三者を紹介するエクササイズをしたが、その項目の中に「誕生日」があり、運の悪いことに私のパートナーは講師に当てられ、私の紹介をすることになってしまった。
結果、私の誕生日が本日ということがばれたのだが、ラテン系はそういった類は絶対にスルーしない。
予想通りのオーバーリアクションをしたうえに、みんな帰りたがっている授業終了間際にスペイン語のハッピバースデーをみんなで歌いましょうと、YouTubeをプロジェクターでかけだした。
この年になってこれはだいぶきつかった。
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